法政大学 坂本教授のコラム「快進撃企業に学べ」で住まいのおたすけ隊 島根電工の取組が紹介されました。

法政大学 坂本教授のコラム「快進撃企業に学べ」で「住まいのおたすけ隊 島根電工」の取組が紹介されました。タイトルは「快進撃企業に学べ~まるでサービス業のような『島根電工』~」です。
「日本で一番大切にしたい会社」などの著者、法政大学の坂本教授によるコラム
「快進撃企業に学べ」で「住まいのおたすけ隊 島根電工」が紹介されました。

以下は米子商工会議所の所報「シャンブル」3月号に掲載された記事を転記させていただいたものです。
(全国の商工会議所所報でも掲載されているそうです。)

「快進撃企業に学べ~まるでサービス業のような『島根電工』~」

全国の建設業の多くが苦境にあえいでいる。 それもそのはず、バブル期と比較すると公共工事は今や半減しているからである。こうした中にあって異彩を放っているのが「島根電工株式会社」である。本社は島根県の松江市にあり、事業エリアは島根県内が中心だ。同社の主な事業は電気設備工事・空調設備工事、さらには給排水管工事などで、社員数は約300人と中堅の建設工事会社である。全国のどこにでもあるゼネコン関係企業の一つと勘違いされそうだが、その実態は全く違う。

例えば、建設業界は、大手ゼネコンの傘下で公共工事に依存しており、大口受注、指示待ち受注といった特徴がある。しかし、同社への年間工事依頼の80%以上は個人客で、その件数は、年間約3万5000件以上に上る。しかも、その大半が工事代金5万円以下の小口案件、中には工事金額が1000円という仕事もあるという。

どう考えても、その実態は建設業ではなく、「サービス業」だ。

しかし、以前からこうした「サービス業的建設会社」だったわけではない。それどころか、バブル期には、受注のほぼ100%が公共工事関連で、依頼金額も1件当たり100万円以上の大型案件が大半だった。これを「公共工事から民間工事」「大口受注から小口受注」「指示待ちから提案」といった経営形態に事業戦略を大きく変えたのは、現社長である荒木恭司さんたちである。荒木社長らは、バブル期に建設業界、とりわけ自社が、どっぷり漬かっていた公共工事の将来性に不安を感じ、「このままでは、社員と、その家族の命・生活を守れなくなる」と、現在の主要事業である民間工事・小口工事へのシフトの決断をした。

しかしながら、当時は公共工事が豊富にあり、しかもその量が右肩上がりで増加していた。そのため、あえて個人の、しかも小口の工事にシフトしていくという戦略の転換は、社員の多くから支持されなかった。それどころか、抵抗感の方が強かったという。それでも、荒木社長たちは、諦めずに社員の意識を抜本的に変えることに取り組んだ。あらゆる機会で口酸っぱく、「わが社は電気工事が仕事ではなく、人々の快適な居住空間をつくることが仕事だ。来るべき不況にも、びくともしない会社をつくろう」と呼び掛け、社員を変身させていくための教育に注力したのだ。

同時に、これまで縁の無かった一般家庭に島根電工を知ってもらうため、新しいBtoC ビジネスを「住まいのおたすけ隊」とネーミング。地元テレビ局でのCMなどを通じ、その認知度を高める努力をした。それから間もなく、バブルが崩壊。公共工事だけでなく、民間の大型案件も激減していった。他方で、着々と準備を進めていた「住まいのおたすけ隊」は、年々地域住民の評価を高めていくことになる。こうして、島根電工は、大型工事・公共工事が激減しているにもかかわらず、誰一人としてリストラすることなく、地域社会でなくてはならない企業として成長発展している。

法政大学大学院政策創造研究科
教授 坂本 光司

坂本 光司/さかもと・こうじ
1947年生まれ。福井県立大学教授、静岡文化芸術大学教授などを経て、2008年4月より法政大学大学院政策創造研究科(地域づくり大学院)教授、同静岡サテライトキャンパス長および同イノベーション・マネジメント研究科兼担教授。他に、国や県、市町、商工会議所などの審議会・委員会の委員を多数兼務している。専門は中小企業経営論・地域経済論・産業論。著書に『日本でいちばん大切にしたい会社』(あさ出版)、『この会社はなぜ快進撃が続くのか』(かんき出版)など。